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四辻 健治; 舘 幸男; 大窪 貴洋*
CMS Workshop Lectures, Vol.21, p.251 - 257, 2016/06
処分環境における圧縮ベントナイト中の核種の拡散係数や収着分配係数等の整合的な推定評価を目指し、原子力機構では統合収着・拡散モデル(ISDモデル)の開発を進めてきた。ISDモデルは、圧縮ベントナイト中の間隙水化学および核種の収着・拡散挙動を整合的に評価するモデルである。特にISDモデルの拡散パートは電気二重層理論と均質間隙モデルに基づいており、カチオンの過剰な実効拡散係数と細孔間隙でのアニオン排除を整合的に説明できる。現状のISDモデルは1価カチオン/アニオンの実効拡散係数をある程度定量的に評価できるが、多価カチオンや錯体形状の化学種に対しては実測データの再現性が悪い。モデルを改良するには、溶質・溶媒および粘土鉱物間の相互作用を分子レベルで高度化するとともに、不均質間隙構造を考慮したモデル化を進める必要がある。そこで本研究では、多重間隙構造を考慮して現状ISDモデルの高度化を検討した。多重間隙モデルによる解析の結果、実効拡散係数の塩濃度依存性が、現状の均質間隙モデルより緩和され、拡散モデルが改善されることがわかった。
舘 幸男; 陶山 忠宏; 四辻 健治; 石井 康雄; 高橋 宏明*
CMS Workshop Lectures, Vol.21, p.241 - 250, 2016/00
放射性廃棄物地層処分の安全評価において粘土質岩石中の核種の収着・拡散挙動は把握すべき重要なプロセスである。幌延深地層研究所における泥岩試料中のNi(II), Am(III), Se(IV)の拡散・収着挙動を、実験とモデルの両面から調査した。透過拡散試験によって得られた実効拡散係数は、先行研究の結果も含めて、Cs, Ni, HTO, I, Se(SeO), Am(Am(CO))の順に低下する傾向となった。一方で、拡散試験から得られた収着分配係数は、バッチ収着試験によって取得された値との整合的であった。これらの結果は、粘土成分(スメクタイトとイライト)の寄与を仮定した収着モデル、電気二重層理論と単純化された間隙モデルを考慮した拡散モデルとを組み合せた、粘土を主体としたモデル化手法によって解釈された。この粘土を主体としたモデルによって、一連のデータを概ね説明することが可能であり、この手法が多様な核種に対して適用可能と評価された。